ハノイにあるベトナム軍事歴史博物館では、主にベトナム戦争で使用された戦闘機や戦車、遺留品などがベトナム戦争時代の写真と共に掲示されています。また、建国からの歴史上の独立との戦いも紹介されています。
ベトナム軍事歴史博物館は英語ではVietnam Military History Museum、ベトナム語ではBảo tàng Lịch sử Quân sự Việt Namと言います。

ホーチミンにある戦争証跡博物館(War Remnants Museum)は主に戦争の生々しい傷跡を展示し、戦争の悲惨さや無情さに訴えかけていますが、ハノイにあるこのベトナム軍事歴史博物館はベトナムが紀元前から毅然として持ち続けてきた誇り強い独立の精神と、その戦いの歴史、戦いへの勝利によって勝ち取った自由と独立、というところに重点が置かれているように感じました。
こちらが博物館の入り口となっている正門です。少し控えめなので見逃してしまいそうになります。こちらの入り口の右側にチケットオフィスがあり、40,000ドン(2020年6月現在)でチケットを購入、内部を観覧します。
私が行ったのは観光客が入国できない2020年6月なので、観覧者はほぼおらず、私含め5人ほどでした。。館内のスタッフの方が数が多かったです。

正門を入ってすぐ左に、ベトナム戦争で北ベトナム軍によって利用された戦闘機MIG-21 Fighter N 4324が展示されています。説明によるとこの戦闘機は旧ソビエト連邦で製造され、ベトナム戦争中に14機の米軍の戦闘機を撃ち落としたということで、現在は国宝に指定されています。

MIG-21 Fighter N 4324
戦闘機の背景にあるのは、フラッグタワー(Cột cờ Hà Nội)。このフラッグタワーは軍事歴史博物館の敷地内にありますが、タンロン遺跡群に属するもので、Nguyen 王朝に建てれれたものです。

このフラッグタワーは途中まで登れるようになっており、そこから軍事歴史博物館の屋外に展示されているたくさんの戦闘機や戦車が一望できます。これらの戦闘機や戦車は一つ一つ近くに行って見ることができます。

屋外展示の中心に位置するのは、ベトナム軍によって撃ち落とされたフランス軍、アメリカ軍の戦闘機の残骸で作成されたモニュメントです。
説明では、1945-1954年のフランスからの独立抵抗戦争でベトナム軍は435機のフランス軍戦闘機を、1964-1973年の対アメリカ戦争で4,181機米軍戦闘機を撃ち落としたと記載されています。
このモニュメントを見てどう感じるかは見る人それぞれだと思いますが、私はベトナムという小国でありながら、フランス軍に勝利し、続いてアメリカ軍にも勝利して国家としての独立を維持することができたという勝者としての誇りを表現しているように思いました。

ベトナム戦争中にベトナム軍が撃ち落としたアメリカ軍・フランス軍の
戦闘機の残骸で作成された作品
屋内の展示は、主にベトナム戦争の歴史を写真や当時の遺留品で説明するものです。一番入り口に近い建物は、ベトナム戦争以前のベトナムにおける中国からの独立の戦いの歴史が主な展示内容です。
入り口には、「các vua Hùng đã có công dựng nước bác cháu ta phải cùng nhau giữ lại nước(Hung王がベトナムを建国してくれた、我々はその国を守らないといけない)」というホーチミンさんのメッセージが掲載されています。
まさにこのホーチミンさんの言葉通り、紀元前にHung王が建国してから、中国・フランスの支配下に1000年近く置かれることもありながら、その間も人々は常に独立と自由を求めて戦い続け、最終的に独立を勝ち取った、というベトナムの歴史を展示しているのがこの博物館なのです。

館内にはベトナム戦争終結時1975年4月30日にサイゴンの統一会堂に侵入した戦車T.54B Tank No.843(旧ソビエト製)が展示されています。この戦車は国宝に指定されています。

ベトナムの歴史、ならびに「自由と独立」がベトナムにとってどれほど意味があり重要なことなのかを感じることができる場所です。機会があればぜひ行ってみてください。
ベトナム軍事歴史博物館はタンロン遺跡の近くにあるので、タンロン遺跡と合わせて訪問してみるといいかもしれません。
ベトナム軍事歴史博物館の基本情報
ベトナム軍事歴史博物館(Vietnam Military History Museum、Bảo tàng Lịch sử Quân sự Việt Nam)
住所:28A Điện Biên Phủ, Điện Bàn, Ba Đình, Hà Nội
開館時間:8AM-11:30AM, 1-4:30PM、月曜日は休館。